リカンベントを自分で組んだ時の話し
昨年、生まれて初めて自分で自転車を組んでみました。
そして、それは通常のロードではなくリカンベントでした。
自転車パーツのオーダーから組み立てまで、そのひと通りを自分でやってみると、今までとは違う世界が開けた・・というのが結論であり、もし「自転車が好きだけど長年自分で組んだことがない」という方がおられたら、一度経験されることに賛成でもあるのですが、その反面、可能な限りプロの自転車屋さんに組み立てを頼もうと思えるきっかけともなったのでした。
私は、自転車は乗れれば&フィーリングで気に入ればなんでも良いと思っていた期間が長く、自転車のハード面にはほとんどこだわりがありませんでした。
リカンベントを購入すると決めた際、そのリカンベントの販売代理店が日本になく、仕方がなく自分で個人輸入して組み立てることにした・・・というのが、私がリカンベントを自分で組むきっかけでした。
『何をオーダーすれば自転車が完成するのか??』
まず私が直面したのはその問題でした。
そこで、とりあえず、メーカーサイトに書いてあった部品をひと通りオーダーすることにしました。
『BBって何?』から始まり、『クランク買ったらBBってのも付いてくる?別途購入する必要ある?』、『変速機って「変速機一式」でオーダーできないの?(販売サイトによるようですが、私が利用したところは個々のパーツ別に売っていました)』
などなど。。長年ハードに無頓着だった為に初心者丸出しで恐縮です。
もう駄目でもいいからとりあえず自分が信じる一式というものをオーダーしてみました。
メーカーから買えないパーツは他の店舗で購入しました。でも、正直なところ、何が足りないパーツなのかよくわからなかったので、実際には届いた品をみながら「あ、これも必要」って気づくこともあったりしました。
とりあえず最初のオーダーから待つこと2週間、フレームなどの部品が到着しました!
あれこれ足りません・・・
何が足りないのか、とりあえず部品を並べてみて確認します。
とりあえず、ハンドルバーが入っていないのは一目瞭然です。
それに、マニュアルを見るとBB部分にはめるように書いてある謎の丸い物体が2つ。
直ぐに販売元にメールします。
ハンドルは別荷で送られてくるとの返信がすぐ返ってきました。謎の丸い物体のことには触れられていません。
更に2週間待つと、残りの荷物が到着。
ハンドルバーは入っていますが、謎の丸い物体は入っていない風味。
とりあえず仮組みしてみます。
すると、謎の丸い物体は、どうやらBBのことのようでした。 orz
マニュアルの絵が変なだけでした。BBならBBと書くか、もうちょっと絵をなんとかしてくれればいいのに・・・リカンベントだから特殊な装置だと思ってたよ・・
と、ひとりごとをつぶやきつつ、組み始めます。
『ん?チェーンリングがはまらない・・』
よく見ると、本来はリカンベント用にチェーンリングを加工しないといけないのに、加工しわすれているようです。
そして、『加工し忘れて出荷しちゃった』という内容のメールと共に下のような写真が添付されてきました。
あの・・
『これ、自分で削れないからわざわざ日本で買うよりも高かったのに、あんたんところで買ったのに、自分で削れってどういうことだよ』
と思いつつ、そういう話しが通じるのは相手の事を心底考えてしまう日本人に対してだけで、このリカンベントメーカーの国のカルチャーを考えると、ここでやりとりしてなんとか削ったものを送ってもらうにしても、時間の無駄遣いなので、自分で切ることにします。
メーカーからのメールには「Dremel toolで直ぐ切り取れるから」と書いてあったのですが、そもそも「Dremel tool って何よ?」と、ウェブ検索します。
これのことのようです。欧米人は当たり前のように持っているツールかもしれませんが、日本人には馴染み薄いっすよこれ。
一式揃えたら、1・2万円飛んでいきそうなので、数百円で入手できる金鋸でギコギコ切ります。一応バリ取りの為に金ヤスリもかけ・・
トータルで4時間くらいかかりました・・
あと、リカンベントなので背もたれがついてくるのですが、この背もたれのアルミ板にあけてある穴と、フレームにあるねじ用の穴の位置があっていません。
最初、「まさかそんなミスはないだろう」と日本人的に考えてしまい、少し無理してしめつけたらネジの頭にある十字切り込み部分がいかれてしまいました・・・
余分なネジはついてなく、しばし呆然。
ここで、メーカー側の加工ミスだとやっと気づき、自分でアルミ板(=背もたれ)のネジ穴を開けなおします。
とはいっても、ドリルも持っていなかったので、丸い棒状の金ヤスリでギコギコ地道かつ慎重にあけていきます。
ちょっとだけ、Dremel tool 買ってもいいかな・・と心揺らぎました。
なんとか全体が組み上がってきました!!
最後にブレーキっと・・・
『へ?』
私のリカンベントは通常のロードよりもフォークのパイプ(というのでしょうか?とにかくフォーク上部のパイプ部分)が太いらしく、フロントブレーキのネジの長さが足りません。
『もー、そういうの嫌だから、ブレーキもわざわざリカンベントメーカーサイトで売っていたもの買ったのに・・』
しかたなく、近所の自転車屋でパーツを調達。。
パーツを入手して帰宅後、そのまま部屋にこもって2,3時間。
『やったー!完成〜』
なんだかんだありましたが、約2週間かけてリカンベントを組み上げることができました。
自転車を組み上げるのは超初心者だった私がここまでできたのは、実は下記の書籍のおかげでした。
この本のおかげで、パーツの名前がわかり、どんな工具が必要かがわかり、その工具を使って何をすべきかがわかりました。
正直、この本無しには何もできなかったし、この本があったから今後も自転車パーツの付け替えや オーバーフロー オーバーホール(1/22訂正: アクアも少しやっていたので水槽用語に変換されてました。。)は自分でやろうと思えるようになった、神様のような本です。
そして、時は流れ、昨日。
リカンベントのネジが(輪行時に緩めてしまったまま閉め忘れて乗ったのがわるく)輪行途中もしくは走行中になくなっていることに気づきました( ゚Д゚)oops
メーカーにメールします。無くなったネジか、個々売りが無理ならネジ一式売って欲しいと・・
意外にも、速攻で返事かえってきました。
その返事は
『近くのネジ売ってる店で買えるものだから自分で調達してね。ちなみに大きさはM4だよ』
orz... ほぼ想定していましたが、「ネジ売っている店にいけばネジはある」って・・あまりにも的確な表現ですな。。日本のメーカーがそんな事書いたらネットで炎上しそうですが、これが普通なので海外ってうらやましくも思います。
結局、いろいろあった後に目的のネジを入手できたのですが、そもそもメーカーが言ってたネジの大きさが違ってました・・
M4ではなく、長さ20mmのM5ネジが正解でした。
そもそも、メーカーはネジの長さも教えてくれてなかったし。。自分で測ればわかることなので書かないという論理なんだと思いますが、こういう細かなカルチャーギャップが沢山重なるので、個人輸入はイライラします。
えっ、そんな短気なのは私だけ??・・失礼しました(^^;
ちなみに、リカを構成するネジは数種類あったので、こんな図を問い合わせメールに添付して、絶対に間違われないように工夫したんですけどね。
ここまでやってもサイズ間違えて返答するんだから、日本人的にはびっくりです。
これで、もしネジを彼らが売ってくれるとなって、M4のネジが送られてきてたらさすがに怒っただろうな・・精神衛生上の観点でも、自分で買いに行ってよかった。
とまぁ、これ以外にも細かな点でいろいろあり、自分でなんとかしなければ行けないことに直面したお陰で、工具はひと通り揃いました。
ちなみに、自転車を組んだりメンテするには専用工具が必要になることが多いですが、私はパークツール社の工具セット (実売価格で3万円くらい) を購入しました。
結構値段しますが、買ってよかったと思っています。ただ、ペンチ、レンチといったいわゆる普通の工具は含まれていないので、それらは手持ちのものを使うか別途用意する必要あります。
自分で自転車を組んでよかったこととして、今後は自分でパーツ交換する度胸がつきました。
それに、ロード等の市販パーツでほぼ間に合う自転車ではなく、「規格外パーツが多い」かつ「個人輸入して、カルチャーの違う海外とのやりとりが必要」なリカンベントを自分で組む経験をしたお陰で、なんとなく何でも自分で解決していける自信もつきました。
・・ただ、今後自転車を買う時に、日本に代理店があるなら私はプロにまかせようとも思いました。経済も周りますし、リアルショップな自転車屋さんがなくなってしまったら、困るのは我々消費者ですから。
特に、トルクのかけかた、ワイヤーの取り回し等、やはりプロならではの調度良い塩梅での調整がされている自転車は、素人の私が調整するのよりも乗ってて快適だと思いました。
それにより安全でしょうし。あと、自転車を購入したショップであれば、その後のもろもろ相談もしやすいですし。
中には経験のない自転車屋さんもあって、エライ目にあったこともあるのでプロだからといって無条件では信頼すべきではないのも事実ですが、経験を積んだちゃんとしたメカニックのいる自転車屋さんには、お金を払ってでも自転車を組んでもらう価値があると再認識したのでした。