HP Velotechnik Scorpion fs 26 レビュー (3/3)
HP Velotechnik 社のリカンベント トライク、Scorpion fs 26 に乗り始めて約2ヶ月。
購入当初の浮かれ調子も収まり、自分が乗りやすいパーツへの交換も一段落し、冷静にレビューできる状況になったので、全三回の最終版としてレビューを書いてみます。
リカンベントを知る前の私は、車高が低くて視認性が落ちるリカンベント(の中でもローレーサーやトライクの部類)に乗るのはあまり気が乗りませんでした。
それに、目立つのでなんだか気軽にのれないとも思っていましたし。
そして結局トライク乗りになった今、視認性の問題や目立ち度についての認識は同じなのですが、自転車乗りとしては、そいういうハードルを乗り越えてでも安全かつ気持よく乗ることに意味があるように考えるようになりました。
要は、自分が没頭したいものなのに他人と同じというのが物足りない・・という、ファッションセンスがある人がちょっと変わった格好しているアレに通ずるものかと・・。え?「それとこれを同じにするな」って声が聞こえますが、何か??
とにかく、無条件でリカンベントは楽しい自転車なんです。これに尽きるのかも。
リカンベントも、二輪のハイレーサーとこのトライクを所持していますが、それぞれに特性があることが体感できました。
おそらくハイレーサーに限らず二輪のリカンベントは100km以上走るような長距離を、なるべく短時間で走行するのに向きます。より摩擦抵抗が少なく、結構交通量が多い道でも扱い易いからです。
一方、トライクは二輪リカンベントよりは摩擦抵抗を感じるものの、どんなに疲れてヘロヘロでも、例え停止したとしても転倒しないという安定感があるので、近隣のポタや、長距離を快適に走破するのに向いていると感じました。
ただ、トライクの摩擦抵抗に関しては、タイヤやホイールを交換し、細身&軽量タイヤにすることで大幅に改善できることも実感しています。
(私の貧脚での例ですが)高負荷でペダリングし続けた場合、ハイレーサーでは時速30-33km/h で数十キロの距離を走行可能です。(ただし、平地&無風もしくは追い風の状況です)
トライクでタイヤを購入時のままにした場合 (20インチx40mm + 26インチx40mmタイヤの状態)、高負荷でペダリングしても数十キロ走り続ける為には 20km/h 前後が精一杯でした。
それを、前輪 → 20インチx23mm + 後輪 → 650x23mm タイヤに換装してみると、27-30km/h 程度なら数十キロ走り続けられる感覚にまで改善されました。
ただ、このハイレーサーとトライクの巡航速度差は、実は空気抵抗によるものが大きいこともわかってきました。(というか、実は他のブロガーの方のブログ等で知ってはいたのですが、自分でも実感できました)
23mmタイヤに履き替え&高圧での走行という条件になってしまえば、ハブをGOKISOハブとかにしない限りは、ハイレーサーもトライクもそれほど摩擦抵抗による差異は出ないんじゃないかと感じています。
というのも、トライクでシート角を立てている(冒頭の写真並み = シート角41°)状態だと、ダッシュをしても30km/hを超えた途端にスピードが伸びなくなってしまうのですが、シートを倒す(=それでも32°程度までしか倒れないのですが)とスルスルっと35km/hまで速度の伸びが続きます。
片や、私がもっているハイレーサーのシート角は20°なので、ダッシュをかけている状況下では、35km/hを超えてもまだ速度がのび、42-43km/hくらいまではスルスルっと行きます。
空気抵抗に関しては、シート角の他にペダルの位置も関係し、前面投影面積が小さくなるほど高速走行時の差となるようです。
空気抵抗というのは、とても大きいんですね。
個人的な経験をまとめると、中低速走行時のスピードの走行性能は、タイヤの摩擦抵抗を減らす努力が効果をとても感じ、高速走行時では前面投影面積を小さくすることがより効果を感じられるという感じです。
走行性能のことに随分フォーカスしてしまいましたが、実のところトライクに乗ってしまうとあまりスピードを出したい欲求が出てこなくなるんです。
まるでゴーカートに乗っているかのようなワクワク感と、車高の低さからくる数割増しのスピード感。これがヒューマンパワーという非常に静かかつクリーンなエネルギーで走る乗り物だと思うと、もう笑顔がとまりません。
更にリカンベントならではの視界の良さが気分を更に高めてくれるので、最高の気分転換になる乗り物です。
購入直後の舞い上がっていた感覚はほぼなくなり、このところは毎朝普通にトライクで朝のサイクリングに出かけるようになりましたが、やっぱりトライクは楽しいです。
特に HPV Scorpion fs 26 についてという意味では、後輪の選択肢が 26インチ、650c、700c と幅広く、私のニーズに合っていました。
# 650c や 700c への交換は完全に自己責任です。メーカーにそういうオプションはありません (が、クリアランス的には 700c まで対応しているとメーカーに教えてもらいました)
あとは快適性を重視したかったのでフルサスモデルにしたのですが、これは個人的に大ヒットでした。そんなに高級なサスではないようなので大きくは期待してなかったのと、以前マウンテンバイクに付いていたエアサスが全然ダメな性能でサスに偏見をもっていたほどだったのですが、これは本当にリカンベント ライフを快適にしてくれる装置です!・・とテンション上がるくらい褒めてあげたい。
まとめのまとめ
- リカンベントは膝やお尻への負担が少ない(故障した)体には優しい乗り物
- トライクは乗っているだけで楽しい乗り物
- 実際には、タイヤ換装してシート倒せばトライクも速いが・・
- トライクはスピードを追求する乗り物ではない/する必要を感じさせない
- HPV Scorpion fs 26 の前後のサスは、快適だった
- HPV Scorpion fs 26 は、すれ違う人々の反応もほぼ良かった(恥ずかしくなかった)
- ただ、トライクは重くて大きいので保管場所には苦労します